ベジタブルタンニングオイルレザーの基本メンテナンス

こちらの製品はあらかじめ染色された革ではなく、伝統的なベジタブルタンニンなめしで仕上げられた無染色の極厚ステアハイドを弊社クラフトマンの手で丹念に一本ずつ、革の状態を見極めながら染色された製品です。日常の手入れは革に傷を付けない程度の柔らかいブラシを使い、革表面のホコリ、汚れを定期的にブラッシングして取り除くことで、自然な経年変化を促進します。

注意:手染めにより染色されたこの皮革は製品使用に伴う経年変化によって徐々に褪色します。ただし、その変化は製品そのものの価値を損なう物ではなく、むしろ製品の質感、見た目に深みを与え、工業的に染色された皮革製品では決して味わうことのできない美点であります。また、定期的なメンテナンスとクリーニングを行うことで現れる、褪色していく皮革表面の色と相対して革の奥から滲み出てくるような革そのものの地色の現れ方は、通称『茶芯』と呼ばれており、長く愛用出来る皮革製品の証となることでしょう。

使用する道具

Point
1
外装 革の表面

*利用開始直後にコロンブス/コンディショニングクリーム等のデリケートクリームを薄く塗布しておくことで使用開始直後の極端な褪色を防ぐことができます。

*通常の使用下では数ヶ月に一度、加脂が必要となります。まずはブラッシングで、皮革表面のホコリや汚れ、可能であれば汚れの溜まりやすい金具周りやミシン穴なども丁寧にクリーニング。次に油脂分と栄養を補給することのできるコロンブス/コンディショニングクリームなどのデリケートクリームを乾いた布に少量取り、布地に馴染ませてから少量ずつを薄く、丁寧に革の表面に塗り込みます。塗布後、しばらく放置して(20~30分)、クリームの成分を革に浸透させる時間を持つことでより効果が得られます。最後に乾いた布を使い、革表面にうっすらと残ったクリームの油脂分を革に馴染ませるように乾拭きします。

Before After

Point
2
銀面のスレ、傷、汚れ

*弊社製品に用いられる革の多くは皮革表面を保護する為の加工を極力抑えた昔ながらの鞣し工法で制作されています。革本来の質感や風合い、機能性を引き出せば引き出す程に革表面(銀面)はデリケートで傷つき易く、汚れもつき易くなります。我々の皮革は、適切なメンテナンスを施して頂く事で、そのデメリットを補って余りある経年変化を生み、キズや汚れも風合いの一部と感じるほどに、味わい深く変化します。

軽い擦れキズであれば、通常の外装メンテナンス同様、コロンブス/コンディショニングクリームなどのデリケートクリームを用いて全体を手入れしていただく事によって、擦れキズを目立たなく馴染ませる事が可能です。 又、軽い皮革表面の汚れなら、コロンブス/レザリアンスペシャルガム(クリーニングガム等)で皮革表面を擦ることで汚れを落とすことができます。ただし弊社皮革は大変デリケートな為、強く擦り過ぎると、その部分のみ色が変色、傷がついたり致します。またステッチ周辺を強く擦ることでステッチが切れる恐れもありますので、ご使用の際は、革の状態を確認しながらご使用下さい。全ての汚れが落ちるわけでは御座いません。予めご了承下さい。

皮革に染み込んでしまった汚れの除去は大変難しく、レザーソープや表面活性剤、強い揮発性を持つ有機溶剤を用いてクリーニングする方法がありますが、どれも上級者向けのクリーニングになります。効果が保証出来ないばかりか、取り扱いに慣れていないと革自体を傷めてしまうため、一般的にはお勧めしていません。万が一シミになった場合は、上記記載の目立たなくする方向でのメンテナンスをお勧めいたします。

Before After

Point
3
コバ

この製品のコバは特殊な刃物で皮革の面取りを行い、丸くなった断面の角に染料を塗り、丁寧にミツロウを含ませて手作業で磨き上げております。外装の手入れと同様にコロンブス/コンディショニングクリームなどのデリケートクリームをほんの少量塗布し、乾いた布でコバを磨く事で、全体を引き締め、より重厚な雰囲気ある見た目と質感、手触りを与えてくれるでしょう。

Before After

Point
4
金具類

バックル本体やバックルのピン、スナップ等の金具周辺も汚れが溜まり易く、汚れを放置すると金属との反応によって皮革表面の変色等を引き起こすおそれがあります。金具の周辺、金具と革の隙間をこまめにブラッシングするだけでも金具由来のトラブルは防ぐ事が可能です。

*銀を使った金具に関して

弊社皮革製品に用いられる銀色の金具の多くは、自然に本物のいぶし銀の風合を楽しむ事が出来る様、安価なニッケルメッキやスズメッキを用いず、銀(925SV)を含んでいるか、極厚の特注銀メッキ(925SVメッキ)を施した仕様となっております。その為、時間経過と共に銀表面にいぶしの主成分となる硫化反応化合物が付着して銀の表面を黒く曇らせます。適度にシルバークリーナーを用いて金具表面を磨く事で、いぶしの加減を程よく保ち、硫化化合物による皮革の汚れを防ぐ事にも繋がります。

注意:シルバークリーナーは皮革表面に付着すると汚れに繋がる事があります。金具類をシルバークリーナーでクリーニングする場合はクリーナーが皮革表面に触れない様お願い致します。

Before After