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ホーンバッククロコダイル2

前回ご紹介した裁断と研磨の工程が適切に行われたホーンバッククロコダイル(以下HBCと表記)は、次に「貼り合わせ」の工程が施されます。
HBCを含む全てのエキゾチックレザーは、裏側にヌメ革を貼り合わせることで、それぞれの革の特性や、質感を考慮した最適な厚みに調整されています。長年の試行錯誤の上に導き出した厚みの組み合わせにより、頻繁に開け閉めすることで曲がる部分の耐久性や機能性を確保しています。同じ種類のエキゾチックレザーであっても、質感が異なる仕上げが施されていれば、当然その革の厚みと質感に合った厚みの裏革を貼り合わせます。
HBCの貼り合わせは、背中部分にあるキール(大きく隆起したウロコ)が連なった部分が非常に硬く、通常の貼り合わせ方では快適にご使用頂けない事から、特殊な製作工程を踏んでいます。

ライダースウォレットを例にあげると、裁断時に前面にキール部分、背面にしなやかでフラットな腹部が来る様に配置されています。これはライダースウォレットの形状において、唯一ダイナミックな見た目と快適な使用感を得ることが出来る配置になっています。しかしながら画像でご覧いただけるように、キール部分が曲がる部分、場合によっては背面にまで掛かってしまいます。全てのHBCの革は当然均一でなく、またキール部分と腹部との柔らかさが全く異なる事から奇麗にセンターで曲がるものは、ほぼ皆無と言っても過言ではありません。
パイソンやエレファントと言った薄い革、しなやかな革は平面的に単純に張り合わせても見た目や使用に支障はありませんが、上記理由からHBCに関しては、「いせこみ」という技術を用い貼り合わせが行われます。

「いせこみ」とは、平面の素材を立体的に仕上げる技術です。この技術を用いて、HBCに曲げクセを付けながら裏革を貼り、より立体的に仕上げます。キールの並びや、質感を見ながら、いせこむ位置を調整し、より完成された魅力的な商品にしあげています。
ただ「いせこむ」事で全てが解消されたわけではなく、あくまでも補助的な役割でしか無い事からも、如何にHBCがワイルドで取り扱いが難しい皮革であるかを、理解して頂けるかと思います。

Writer / Hard leather TZ