A Fine Western-Lifestyle Companywww.funny-western.co.jp

SPIRITS

CLAW POINT - MITSURU SUGIURACLAW POINT 杉浦 充 インタビュー 02

修理が面白い

――「『新潟のクロウポイント』と言えば知る人ぞ知るウェスタンブーツ専門のリペアショップですが、そもそもウェスタンブーツという限られた分野で仕事をしようと思われたきっかけは何だったのでしょう?」

私は大学で東京に出たんですけど、卒業後に知り合いから、デパートでのスニーカー修理を手伝わないかという話をいただいたんです。スニーカーは好きだったので、「やります」と即OKして靴の修理の仕事を始めました。やってみたら、すぐに修理というのも面白いなと思うようになりました。自分に合っていたんでしょうね。欠員が出たこともあってそこで勤めるようになりました。1981年のことです。

結構楽しく働いていたんですが、時代の流れか、年々スニーカーの修理依頼が減ってきたんです。修理してまで履くという感覚は今ではもうありませんから、当然なのかもしれません。そうなると、スニーカー修理を続けていても仕方がないという気がして、4年ほどで辞め、靴の修理専門店に修行に行きました。スニーカー以外の靴についても、一通り修理の方法を身につけたいと思ったんです。

そこでは、2年勤めました。修理をきちんと習おうと思って行った割には短かったと思いますが、結局肝心なことはやらせてもらえなかったんです。靴の修理というのも職人の世界で、重要な部分は職人がやって、若手には修理と言えるかどうかというようなことしか仕事を回さないんですね。

でも実は、本格的に靴の修理を自分の仕事にしていこうと思ったのは、この頃です。肝心の修理をさせてもらえないのにやりたくて、なぜかこれで食っていこうと思ったんです。やりたいことがやれないと、本当は何がやりたかったのかに気づくのかもしれないですね。

靴の修理というのが、世間一般から見てちょっと変わった仕事だというのも、この仕事を選んだ理由のひとつです。競争に弱いので(笑)、なるべく少数の中で、できれば人がやらないことのほうが自分に向いているだろうと思いました。

誰にでもできる仕事をやっている日々の中で、ここにいても自分が望むようなところには到達しないだろうと思うようになって、専門店は辞めました。そして退職金をもらってアルバイトをしながらお金を貯めて、アメリカに行きました。日本で修理の方法を教えてもらえないなら、アメリカで習おうと思ったんです。

日本とアメリカとでは修理の方法が全く違うだろう、アメリカ式を習って一人前になってから日本に戻って修理屋ができたらいいなと思って。ダメなら帰ってくれば良いし、運が良ければ働けるだろうという軽い気持ちでした。若かったですね(笑)。

< < CLAW POINT - MITSURU SUGIURA WORKS GALLERY