A Fine Western-Lifestyle Companywww.funny-western.co.jp

SPIRITS

CLAW POINT - MITSURU SUGIURACLAW POINT 杉浦 充 インタビュー 04

ウェスタンブーツ専門

――アメリカでウェスタンブーツの魅力をたっぷり吸収し、帰国。あくまでもウェスタンブーツ専門という特殊なジャンルで、仕事として十分に食べていけるだけの道筋は、どのように開拓したのだろうか。

今思うと強気なんですが、何か、勝手に自信があったようなんです。自分の技術に。アメリカと日本との靴修理のやり方があまりにも違い過ぎて、これなら日本でも自分ができるだろうという自信ですね。ウェスタンブーツだけでできるんじゃないかと、それくらい自信がありました。それでまっすぐ地元の新潟に帰ってきて、しばらく準備の期間を作りました。

新潟に店を開きながら全国の修理を請け負うためには、大手の販売店や直営ショップから仕事をいただけるようにしたいと思い、準備と共に売り込みをかけていきました。最初にファニーさんに行ったとき、修理が終わってきたブーツを見せてもらったんです。それが、何と言うか日本式のやり方で、これだったら自分の方がうまくできると思いました。最初の売り込みから約1年後、店の準備も整いファニーさんに再訪した際に「試しにやってみろ」ということでウェスタンブーツ修理の依頼をいただき、その結果を気に入っていただいてからのお付き合いです。

――「日本式とアメリカ式では、やはり修理の仕方も違いますか?」

日本の修理屋さんは、ウェスタンブーツをあまり理解していないみたいですね。他の靴の修理と同じようにやってしまうというか、日本流にやってしまうんです。ヨーロッパの靴を扱うことはあっても、グッドイヤー製法の質実剛健なウェスタンブーツを取り扱う技術や経験がないので、根本的な修理ではなく、補修としての修理に留まってしまっているのが現状です。

これはある意味、文化の違いもあるかもしれません。ウェスタンブーツで採用されているグッドイヤー製法は、修理されることを前提に考えられていて、メンテナンスをキッチリと行うことで長く履き続けることができます。製作段階で多くの工程を要するので決して安価なブーツではありませんが、足に馴染んだお気に入りのブーツを騙し騙し補修しながら履くのではなく、キッチリと修理できるのがウェスタンブーツの魅力です。こうしたメンテナンスの考え方が、アメリカには文化として根付いています。でも日本では、作りこまれた靴を高価な値段で購入してもしっかりと修理できるところが広く知られていないばかりに、駅前の、スピードを売りにしている修理屋さんで安い靴と同じような、その場しのぎの補修をされてしまっているのが残念でなりません。

ヨーロッパの靴に関しては、日本ではうまく修理する方はたくさんいると思います。でも、ウェスタンブーツに関しては、ちゃんと修理できる修理店が現在でもほとんどありません。ウェスタンブーツとしての機能性や形状など、本来あるべき姿を想像して仕上げられるまで経験を積んでいる人はほとんどいないでしょうね。

< < CLAW POINT - MITSURU SUGIURA WORKS GALLERY