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SPIRITS

CLAW POINT - MITSURU SUGIURACLAW POINT 杉浦 充 インタビュー 06

完成形の再現

――ウェスタンブーツの修理に関して、本場アメリカの技を体得した杉浦さんは、どのような「こだわり」の修理をしているのだろうか。

製作した職人さんの意図や元の形をできるだけ想像しながら、作られた当初の形に近づけるよう、意識して直しています。基本はアメリカで習ったやり方を崩さずに、自分なりに精度や仕上げ方を工夫してより良いものになるように扱ってきました。取り扱う素材や資材も、自信をもってお勧めできるものを揃えています。

最近、若者の間でブーツのカスタムが流行っているようで、新品のブーツにとんでもないソールをくっつけてみたり、綺麗な色にレザーソールを塗り替えたり、ブーツ本体に濃淡を入れてみたりと驚かされることが多々あります。良い悪いは別にして、こんなこと、俺なら絶対しないということをガンガンやっていますね。

そういうのは、クリエイティブで面白いとは思うんですが、素材をよく知らないと革を傷めてしまったり、簡単に退色してしまったりすることがあるんです。ブーツは長く使えるものですから、私はできるだけ長期的に良い素材や資材を利用しています。もちろん綺麗な色目なども探してはいるのですが、自身のブーツで試して納得のいくものしか実際には使用しません。

私は、アメリカで製造されたブーツには、できるだけアメリカで使われているものを使いたいと思っています。ヒールにしても革にしても。アメリカにはヒールだけでもたくさんのメーカーがありますが、ビルトライト製のヒールキャップを好んで使用しています。

というのも、ゴムの固さや釘穴の位置が絶妙に配置されていて、最小限の本数で最大限の結果が得られるんです。こういうところを全く気にしない人もいますが、メーカーによっては、本来きちんと打てば5本の釘で済むところを7本入れていたり、それでもソールとゴムの間に隙間が空いていたりするんです。せっかくのブーツなのに何だか心が痛みますね。

ご依頼いただくブーツの履き込まれ方はそれぞれですが、私は最も適切な修理方法とふさわしい資材を選ぶようにしています。わざわざ修理に出していただくブーツですから、やっつけ仕事のようなことだけはしたくないと思っています。

突き詰めて言えば、私のこだわりとは、完成された元々の形に近づけたいと思う気持ちなのかもしれません。数多く見てきたウェスタンブーツの美しいイメージや目指す形があって、できるだけそれを再現したいと思っています。

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