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CLAW POINT - MITSURU SUGIURACLAW POINT 杉浦 充 インタビュー 07

リペア or メンテナンス

――ウェスタンブーツ専門のリペアショップである杉浦さんは、これまで万という単位のブーツに触れてきた。より快適にブーツを履くためには、どのようなことに気をつければ良いのだろうか。

ウェスタンブーツは、人によって履く頻度が違うので一概に言えないのですが、きちんとメンテナンスすれば10年は軽く履けるように作られています。でも修理に持ち込まれるブーツの中には、ブーツが気の毒になるような履き方をしているようなものもあります。

修理という捉え方自体が問題なのかもしれません。本来はご自身で手入れをしていただき、本当にブーツが潰れてしまう前に、大掛かりなメンテナンスとして私達が存在するのだと思います。修理という響きからか、本当に潰れてしまってからも直してもらえると勘違いされる場合もあります。中には修理不可能なケースもあり、「もう少し丁寧に履いていただければ」「少しだけ手入れをしておいていただければ」「もっと早く修理に出していただければ」といった事が日常的にあり、大変残念に感じます。

正確に言うと、修理を行うこと自体もブーツを傷めてしまいます。使用していく中での劣化を単純に止めることはできませんが、ご自身で行う普段からのメンテナンスと私が請負う大掛かりなメンテナンスを併せることで、大幅に劣化のスピードを遅らせることができるのです。

例えば雨の日は履かないとか、濡れてしまったら脱いだ後に拭いておくとか、少しだけでいいので、メンテナンスという視点を持つと、せっかく買ったブーツももっと長持ちします。濡れたまま下駄箱にしまってしまうのがカビや革の硬化を招き一番良くないので、できればシューキーパーなどを使って湿気をとったあとで、保湿クリームを塗っていただくだけで違いは歴然です。

ウェスタンブーツはデザインも優れているものが多いので、玄関で脱いだら終わりにするのではなく、普段目に見えるところに置いておくのも良いと思います。目につくと「ちょっと手入れしようかな」という気にもなりますし。手入れを始めると靴に愛着がわくので、大切に履くようになって長持ちしますよ。

――「これからウェスタンブーツを履いてみようかという方に、メッセージをお願いします」

最近のファッションを見ていると多様化が進んでいるように感じますが、同時にスタイルが失われつつあるようにも感じます。実際の製品自体も奇抜さやそれっぽさが優先されて、モノ作りの衰退が顕著に出ていると思います。

ウェスタンブーツにはまだ、そのモノ作りの良さが残っていますし、流行廃りに左右されないスタイルがあります。 長く履き続けることにより得られる愛着や、何物にも変えがたい自分にあった形に変化していくのも魅力です。決して安価ではありませんが、大事にメンテナンスを行えば10年は履き続けられますし、経済的にもメリットはあるんじゃないかと思います。大量生産が進むなかで、良いモノを大切にすることが、見直されている時代ですしね。

専門店で自分にあったウェスタンブーツを探しだして、愛用していただいた折には、是非メンテナンスという部分でサポートさせていただければと思います。

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