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SPIRITS

KUBOTA ATSUSHI窪田 敦司 インタビュー 05

窪田氏、窪田クラフトをかく語りき

その独自の風合いと質感が高く評価され、窪田クラフトと呼ばれるに至った作品達の特徴について、氏自らがどのような思いを込め、いかにしてあのような造形を作り上げているのかを尋ねてみた。

そこには物を作るという行為の偉大さを知り尽くし、かつ作品を通して人と触れあう職人の、謙虚にして純朴な佇まいがあった。

「僕の作品の特徴ですか。 少し照れくさいですがまず"真心"ですね。 相手の喜んで頂ける顔を思い浮かべながら、仕事するというのが一番。 決して天狗にならない。天狗にならない。

たまに"ぼくの作品ならどんなものでもいいから買う"って言って、よくこれだけ長い文を打てるなと思うほどの延々長いメールをもらったりするんですよね。ありがたいし、うれしいです。

さっきも言った通り、天狗にならずに作るということ。

お客様との関わりもやっぱりそうだし、喜んでもらえたらそれが一番良いしね。 工場(ファニーの工場)に居た頃は、たまにお客様から預かった修理品とか来るじゃないですか。 大事に使ってくれてるのが分かるとすごく嬉しくなりますね、やっぱり。 これはタダでやってあげようかと思うくらい、ものすごく嬉しい(笑)。

やっぱり形の残るものが作りたかったから、こういう革はそのうち自然に帰る革ですが、それでも100年くらいは持ちようによったら残ります。そういうものが作りたかった。

専門学校時代、看板屋でアルバイトしていた時に思ったんです。 看板って残るものではないから、広告だからって。その時だけのものだから、やっぱり残るものがやりたいと思った。 看板屋では可愛がってもらっていたんですが、やっぱり革の道へ行きたいからというので、辞めさせてもらった。職人さんには「そんな不義理なことしたらあかん」と言われながらも辞める時にウェスタンロングホーンを社長にプレゼントし、激励された。 後ろで舌出しといたけど(笑)

残るものが人の手に渡って、喜んで使って頂いて、時間の中を流れて行くというのが、自分の喜び、原動力になっていますね。」

自作品の造形的特徴については、

「物としての特徴は、誰にでもマネができる彫り。でも誰にもマネができない彫りですかね。 ちょっと分かりにくい話ですが。

気持ちの良い流れ。誰が見ても心地が良い流れ。 とにかく流れること。流れを止めてはいけない。それだけです。 気持ちの良い流れの柄。唐草の流れ。 僕は"唐草彫り職人"ということになっていますから。 レザーカービングの世界では、彫り師、彫刻屋。

ぐりぐりしたのはシェリダンカービングと言うんですけど、これはもうすっかり"窪田カービング"と言われるものになった。 美しく、気持ちの良い流れのレザーカービングというものを突き詰めて行った先に、みなさんに"窪田カービング"と呼ばれる、心がほっとするようなものができあがった。」

なぜそういうものを求めるようになったのか。 気持ちの良い流れというものに、どのようにして行き着いたのか尋ねると。

「彫っていて気持ちが良いものでないとイヤなだけです。 "なんだ、そんなことか"と思うくらい面白くない話ですが、真実はそれしかないんですよ(笑)。 好きなものを彫っていたらこうなった。

まあこのカービングに行き着く役に立ったかどうか確信はないですけど、強いて上げるなら、子供の時は結構暗い子供で友達とか少なかったので、自然が友達だったんですよ。 じーっと花を見たり、網持って行って川で海老とかフナとかとって"コレ晩ごはんのおかずやで"とか言ってね。そういうことしていました。 子供心にたとえば花とかそういうものを見ると"もしかしたらこうしてじっと見てるのは、今何も思い浮かばへんけど、将来何かの役に立つんかも知れん"と思いながら見ていたのを覚えていますね。 何にも考えられへん、何も出てけぇへんけど、そういうことがありましたね。

う~ん、やっぱり全然関係ないかもしれないですね(笑)。」

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