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SPIRITS

OOKADO HIDEKAZU大門 秀一 インタビュー 03

ギャリソンベルトのパイオニア

――そこからウェスタン職人としてのキャリアがスタートするわけですね。どんなものから手掛けられたんですか?

人がいなかったから全部やったよ。その頃はモカシンが少しずつ売れ出してきた頃で、僕が入って本格的に作っていくようになった。モカシンは履きやすい靴なんやけど、アメリカのはやっぱり違うのよ、ぺちゃんこで。日本人は甲が高いから輸入品のままじゃ足が入りにくい。履けなかったらしゃあないから日本人用に甲の高いやつを作ろう、ってことでデザインから起こしていった。そうしたらモカ人気に一気に火がついて、『メンズクラブ』なんかには毎月出てたね。その頃はどうしようもないほど注文が来て、店に展示する商品が間に合わなくて、完成したお客さんのモカを見せて注文を受けた。卸をして欲しいって話もどんどんきた。週末こっちに来て商品を持って帰って東京で売るとかね。あのころはとにかく売れたよ。

そんな感じでモカをやりつつ、少しずつ商品を増やしていった。ブーツも入れて、ベルトも扱うことになった。輸入もできたけど僕らで作ろうって話になって、僕がギャリソン担当になった。もともとハードレザーの方をやってたからね。モカはそのまま人を雇ってやってもらうことになった。その頃から人がどんどん増えて、ベルトだけで7人ぐらいはおったな。その7人でギャリソンベルトだけを作った。機械がなかったからみんな手でやったね。そういう時代だった。

ギャリソンベルトの色は茶、黒、タン。昔はタンを育てて色を出していくっていう感覚がなくてね。僕らがやり出したころから、タンというものがあるって世の中に知られるようになった。世の中に色のついた革はあったけど、僕らは手で染めた。レースを使ったり鋲を打ったりとかはしたけど、基本は革で良い色を出せば売れる。それで出てきたのがボカシの技術。ボカシは全部僕がやったなあ。ボカシだけじゃなくて、今のウェスタンアイテムで見られる型のほとんどは、ウチが開発したんよ。信じないかもしれないけど(笑)。

日本のギャリソンベルトは、先端が斜めにカットしてあるやろ。あれは俺がデザインしたんだよ。本来アメリカのギャリソンベルトは普通のベルトみたいに丸くなってるんやけど、実は俺にそれだけの技術がなかった。全てを均一にきちんと丸くする技術がな。あまり言いたくないけど(苦笑)。今ならプレスがあるから型とってやればええねんけど、当時は手断ちだからな、いびつになるのよ。直線の方が生産効率も高いし、ギャリソンバックルそのものが四角やから直線断ちでも合うかな、と思ってカットしたら、ギャリソンの無骨でハードな感じにもマッチしたんやろな、それが主流になった。真似もようされて、今のギャリソンはほとんど斜めカットやね。一時期はアメリカのように丸くしようかとも思ったけど、もう意地でもこのスタイルを通すよ。元祖が止めてしまったらアカンからな。

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