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SPIRITS

OOKADO HIDEKAZU大門 秀一 インタビュー 08

神様からの贈り物

――ただ「作る」のではなく「創造する」ことができるようになるには、コツがありますか?

教えられるもんやないけど、自分で徹底的に考えることやな。ホルスターにしても、「こんなん作ってくれ」って言われて写真を渡されるんやけど、写真には表側しか写ってない。それを見て、裏にはどういう流れでデザインが施されるかっていうのを考えに考えて、デザインを起こす。それはすごく楽しい。まあ実際のものと若干デザインは違うかもしれないけど、使い勝手はいいよ。それは自信もって言える。

綺麗なモノっていうのは、線もまっすぐに出るんよ。おかしなものを排除していったら、自然に正しいものが残る。物事っていうのはそうなってるんやな。着け心地とか手入れのしやすさとか、そういうことを考えて作ると、必然的に線が出てくる。基本なくしてデザインだけ取り入れたって、「いいね」とは言われるかもしれないけど、「良い品ですね」とは言われんもん。

ちょっとでも本物を見ていれば想像力もわくだろうけど、写真は平面じゃん。それをどうにかして立体にしようとする。作る上での楽しみはそこやねん。想像力をいかに生かすか。僕も頭の中でずっとあれこれ描いた時代があったからこそ、今がある。じゃなかったら創造しようとする力がないかもしれん。形だけできて"匂い"がないのを作ってたかもしれん。だから自分で納得いくまで考えることやな。

あとはやっぱりいろんなもんを見ないと。本だけじゃなくて、実際に店で見たりね。現物を見て膨らませ方、線の持っていき方を見る。実物を見ると「これがウェスタン」っていうのがわかる。そこが"匂い"なんやけど、それはなかなか言葉にできない。同じホルスターでも1つひとつ違うし、感覚のみや。「ここはもうちょっとこれくらいなんや」っていう、あいまいな言葉にしかならない(笑)。「5ミリですか?」って言われても5ミリじゃなく「もうちょっと」なんや。自分が納得するまで何べんも引いてみないとわからんと思う。

デザインの勉強をしていればもうちょっと楽にはできるんやろうけど、僕は感覚のみやから「だいたいこんなもんや」ってアバウトなんや。条件が変わったら全部変わる。100個作ってようやくその感覚がわかるときもあれば、1回で決まるときもある。そういうときは心から「ええもんができたなー」って思う。「もうこれは売りたくない」って自分で思うほどきれいな線が出るときがある。それは作ろうとしてもできなくて、何らかの条件が重なるからできるんよ。自分自身でもほれぼれする。神様の贈り物やな。いつそういうものが出てくるか、それも一つの楽しみやね。

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