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SPIRITS

OOKADO HIDEKAZU大門 秀一 インタビュー 10

50年かかったウェスタンの道

――大門さんにとって、ウェスタンの魅力はどんなところにありますか?

この仕事についたのも、ハードなギアをメインにするのも、革を触ることの面白さを知ったからだね。ウェスタンのものは、サドルにしてもギア的なものにしても、全部革。だから革を触らんことには仕方ない。何でもアメリカのものはあるけど、例えば向こうのガンベルトは、俺ら日本人には体形的にそのままだとガンが抜きにくいとか、いろいろ問題があってね。で、誰が作ってくれるわけじゃないから自分で作らんといかんと。それで作ってみたら面白かったんだよ。意味合いがわからずして作るだけの奴はいっぱいいるけど、僕はこだわって作れるのが嬉しい。

ウェスタンって奥が深いから、こだわったらどこまででもできる。でもこだわってるうちに「これで食えるんやろか」とか、いろんな思いが出てくる。アメリカやったらまだ可能性はあるけどここは日本やし、不安が募ることはあると思う。でもそこで振り切るというか、突き通さないとどうしようもない。好きやから追求してしまうしな。それでええと思ってる。

僕は自分自身でもわりと抵抗なくいろんなウェスタンのアイテムを取り入れるけど、ハットひとつでもその人の体型に合う・合わないっていう形があるんや。「これいいなあ」っていうのはあるけど、俺には似合わないこともある。冒険してみようかな、という気になるときもあるけど、でも絶対に似合わないものもある。ようやくそれがわかるようになってきた。ファッションってそういうもんやろ。ウェスタンにはファッションも家具も食べ物も、衣食住の全部がある。まさしくライフスタイルそのものやから、そういうところに魅力を感じているのかもしれんね。

一方で、ウェスタンは時間がかかる。しっくり馴染むには20年くらいかかるね。僕らはすぐにわかるよ。このブーツ、2,3日前に履きだしたな、とか。歩き方でもわかる。20年かけないと馴染まないとは言わないけど、10年20年経つと味が出てくる。僕は小学校の4年生からやってきて50年。今では知らない人から多少お世辞はあるにしても「似合ってますね」って言われるようになった。50年かかったんやなあ。かかり過ぎやな(笑)。

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