インタビューを終えて。
話を伺って感じた窪田氏の人柄は、会う以前にイメージしていた職人像からは遠くかけ離れたものだった。一般的な職人像というと頑固でストイックなものを思い浮かべやすいが、氏の印象は全く違う。

拍子抜けするほど「しなやか」なのだ。
気さくで性格も明るく、サービス精神も旺盛。
失礼ながら、もし見ず知らずの人間に職業を当てさせたら、「職人」という言葉はそう簡単に思い浮かべないだろうと思われるほどにイメージと違うのだ。

しかし、氏の作業をする姿を間近で見てそればかりではない事に気付く。
レザーに向かう時の眼光鋭い眼差し。
カービングをスッと入れる時に一瞬沸き立つ、ざわめきのような緊張感。
体に経験を刻み込むことでしか会得できない、様式美にも似たリズムある身体動作。
そのどれもが、やはり氏が一級の職人であることを垣間見させる。

そしてなにより感動的であったのは、「窪田クラフト」はまさしく「窪田 敦司」そのものであるかのような見事な調和である。
あの「窪田カービング」の美しくしなやかな流れ。
それは自身の生き方、考え方そのものが形として出力されているのだ。
無理なテンションがかかっておらず、どの方位から見ても均衡がとれた非常にナチュラルな状態を体現するバランス感覚は、「ボクの力だけじゃない。」と言わしめるほどの、その純朴で謙虚なスタンスの賜物かもしれない。

これまでも流れるままに、そしてこれからも、この流れのまま、心地よく、変化なくやって行きたいという一瞬無欲かとも思える氏の言葉はしかし。

その流れが実はこれほどまでの円熟と進化を生み出していることを知ってしまった私たちに、益々の期待を呼び起こさせてしまうのだ。
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